米ソニーBMGのコピーコントロールCDに「rootkit」と呼ばれる技術を利用したソフトウェアを「こっそり」仕込んでいたとの報道が各誌をにぎわせた(11/2 ITmedia他)ことで、業界ではちょっとした騒ぎになっているようだ。
米ソニーBMGが今年3月から採用しているコピー防止技術ソフトウェアに、rootkitと同じ技術が使われていたとの事で問題になっているのだが、このrootkitとは何か。これは、自分自身の存在を検知できないようにした悪質なトロイの木馬の一種である。削除が困難なようにOSの奥深くに潜んでいるという。
今回の騒動で、批判の対象となっているのは大きく分けて2点あるようだ。1つは、rootkitという、マルウェアまがいのソフトウェアを公然と採用している事に対する企業姿勢、企業倫理に対する批判である。これは、このソフトがユーザーからは見えず、アンインストールもできないという「悪質さ」、ひいてはハッカーと同じ手段を使ってコピー防止を図ろうとしていることに対する嫌悪感も含まれているようだ。より踏み込んだ報道では、Windowsを改変し、虚偽の情報を伝えてその存在を検知できないようにした今回のコピー制限技術は一線を踏み越えた行為(11/4 WIRED NEWS)と切り捨てているものもある。
もう1つは、ウイルスなどがこのrootkitを利用して隠れることが可能で、悪意を持った人間に悪用されかねない(しかもウイルス対策ソフトでも検知できない)リスクを孕んでいることに対する批判である。
こうした批判を受けて、米ソニーBMG社では「ユーザーから見えなくする機能を停止する」修正プログラムを公開したとのことである。とはいえ、このソフトをアンインストールすることはできない。F-Secureの製品などを使うと削除できるようだが、その場合CDドライブにアクセスできなくなってしまうという。
米ソニーBMGにも言い分があるようだが、明らかに世の中の流れに逆行した行為と言わざるを得ない。スパイウェアは必ずしもユーザーに危害を加えるわけではなく、密かにリソースを消費したり、こっそりと情報を送信したり、見つけることも削除することも困難な点こそが問題になっているのである。その点で今回のコピー防止ソフトはまさにスパイウェアの手口と同じに見える。企業の利益のために、ユーザーを騙す――真っ当な企業のやることではないだろう。