個人情報保護に対する過剰反応が問題視されているが、特に公的機関では「危ない橋は渡らず」的な発想が多いのではないか。一番大切なのは何なのか、という点を考えて欲しいと思うのである。
横浜市では、不審者情報のメール配信が個人情報の問題で導入が出来ない(読売新聞 2/5)という報道などはまさにその一例だ。何でも横浜市の条例では、個人情報を扱う業務の外部委託が制限されているというのだ。市が運営するにはコストがかさみ、民間企業に委託するには市個人情報保護審議会に「委託が不可欠」と証明しなければならないらしい。典型的なお役所論理で、子供を狙った事件が多発しているこのご時世に「法律」「責任」のしがらみにがんじがらめになっている場合ではないだろう。
広島では不審者情報のメール配信システムが自治体単位で広まりつつあるようで、PTAや町内会などが主体となって活発な活動が見られるようだ(読売新聞 1/5)。横浜市の場合もPTAが率先して事態打開に向けて動いているというし、やはり子供の命がかかっている親は何をすべきかわかっている。
また、こんな問題もある。テレビCMでも流れている松下電器のFF式石油ファンヒーターリコール騒動だ。顧客情報の紛失・流出リスクを回避するために顧客名簿を処分した結果、既存の顧客が特定できず、最終的に顧客の安全が守れなかったというものだ(ITPro 1/6)。
個人情報保護法を巡っては、個人情報漏洩罪(意図的に個人情報を漏洩した従業員を処罰する罰則規定)も検討されている(ITPro 2/2)。ほとんどは不注意による漏洩だが、企業間の契約書の条項は厳しくなるばかりで、中小企業などはますます萎縮してしまうかもしれない。
個人情報漏洩事件が相次ぎ、企業が信用を失っている現実を目の当たりにしているせいか、企業が個人情報の取り扱いを巡って腰が引けている様子はあちらこちらで垣間見える。確かに「個人情報を持たない」ことが最大のリスク回避手段ではあるが、必要な情報をも持とうとしないのは単なる責任逃れでしかない。責任の伴う仕事はやりたくない、では社会に貢献する企業足り得ないのは明らかである。