テロを実行に移すとき、その引き金となる合図は何なのか。テロを指揮する者が実行部隊に対して、何らかの「信号」を送っているという説がある。そして、犯罪の場合は、通信内容を暗号化しても、マークされている人間が通信をするだけで、あるいはいつもと違う行動をするだけで、「何かあるのではないか」と当局に感づかれてしまう可能性があるのだ。戦国時代、炊事の煙の多さから武田軍の動きを知った上杉謙信の逸話に似ている。
そこで、通常のメッセージの中に特殊なメッセージを埋め込み、それに気付いた人間だけがメッセージを受け取れる、という技術がステガノグラフィーである。画像や音声の中にメッセージを隠し、テロリストが連絡用に利用しているといわれている。専用のソフトを使えばステガノを作成することも出来るが、例えばWordに背景と同じ白色の文字で文章を書く、などでも簡単なステガノにはなる。普通の人にはそれは「スペース」にしか見えないからだ。
これを応用していくと、道端の落書きを一定のルートで追ってみる、毎日の電話の第一声の文字を一週間つなげてみる、などでも「隠されたメッセージ」を読み取れる可能性があることに気が付くだろう。ステガノとはそういうことである。探そうと思うととてつもなく見つけるのが難しい代物であることが分かる。
英語ではsteganography(電子あぶり出し技術)である。それでもプロはその経験とカン、あるいはある一定の「ノイズ」を感じ取ってステガノを検出してしまうらしい。秘密通信には暗号かステガノか。広い意味ではどちらも暗号だが。
解読成功!
ちなみにこの文章の中にもごく初歩的なステガノが埋め込まれているのだが、気付いただろうか。